越後杜氏、南部杜氏に次いで3番目に杜氏を排出している技能集団、それが但馬杜氏です。

日本酒は、蔵人と呼ばれる専門的技能を身につけた人たちによって造られ、杜氏はその蔵人の中の責任者のことを言います。
兵庫県北部の但馬地域は積雪が多く冬季の農業に適していないため、古くから出稼ぎで酒造業に多くの人が携わっていました。慎重で誠実、そして粘り強く忍耐力のある気質が、半年間の住み込みを要する酒造りで持ち味を発揮します。現在でも伏見などの近畿一円や中国四国地方等の酒蔵で杜氏として活躍しています。

日本各地に酒造りの盛んな地域があり、それぞれの地域ごとに杜氏集団は存在します。

越後杜氏、南部杜氏、丹波杜氏、そして但馬杜氏。これらが四大杜氏と呼ばれています。

伝説の名工

文太郎では、杜氏2人体制で酒造りをしています。
弊社杜氏である田村豊和と森口隆夫は、京都や岡山の酒蔵で杜氏を長年務め、輝かしい実績を持ちます。
但馬杜氏の卓越した技術をこの地で伝承しています。

田 村 豊 和



現代の名工(1997年)
黄綬褒章(2009年)

昭和10年、新温泉町生まれ。

酒一筋(利守酒造)では、長年にわたり杜氏として活躍。酒米の復活や備前焼の大甕での酒造りなど新たな取組みに尽力。

酒の中に吟醸香が入るお酒を目指し、自身の技術研鑽と但馬杜氏の技能継承に邁進しています。


「人生の大半を清酒造りに励んできました。私にとって美味い清酒造りは人生そのもの。技能・技術の全てを次の世代に伝え、日本酒の振興の一助としたい。」《本人コメント》

森 口 隆 夫


全国新酒鑑評会
連続10回金賞
(2000年〜2009年)

昭和18年、新温泉町生まれ。

大吟醸から上撰まで各々の酒質に合わせた特徴ある味わいを造り出す但馬杜氏の巨匠。


「町に酒造所ができて大変喜んでいます。町で生産した酒米を使用して地酒を作ることができるのは嬉しいことです。」《本人コメント》

但馬杜氏組合

「酒の匠・杜氏館」

湯村温泉にある但馬杜氏の伝承展示館では、但馬杜氏の歴史や酒造りで使用する道具の紹介、工程の説明そして試飲などができます。

但馬杜氏組合の前身である「美方郡醸酒業者組合」が設立されたのは明治44年(1911)10月1日でした。

昭和26年(1951)に行われた自醸酒研究会の審査評で「但馬杜氏の造る酒は全国の最高峰であり、今や但馬杜氏の中には全国の最高技術体得した人があることを証明している」といわれています。

昭和31年(1956)、美方郡醸酒業者組合の名称について議論があり、「美方」・「但馬」どちらを名乗るのかで意見が分かれました。
この議論では、美方郡だけで但馬杜氏を名乗るのは出過ぎであるという意見と、但馬杜氏という責任を持とうとする意見が対立し、結果、「美方郡杜氏組合」に変更になりました。
その翌年、再度議論があり、名実ともに備わった「但馬杜氏組合」として出発しました。